それでは、日本の利権構造はどうなっているのでしょうか。
薬害と原発にひそむ人脈は、戦争犯罪を免責された連中から始まったことを暴く名著『腐蝕の連鎖』もまた、広瀬隆さんの著作です。
■広瀬隆『腐蝕の連鎖/薬害と原発にひそむ人脈』集英社 1996年
【以下抜粋引用】
■序章/ミドリ十字の奇怪な株価
1954年3月2日、中曽根康弘によって、日本の国会に初めて原子力予算が上程され、4月1日に成立すると、原発の時代が幕を開いた。のちに総理大臣となった中曽根康弘と親しかったのが、厚生省のエイズ研究班の班長として、血液業界に辣腕をふるってきた帝京大学副学長の安部英であった。・・問題の人物は、なぜ中曽根と親しかったのか。・・・
■第1章/薬害エイズと原発利権の人脈
原子力予算成立からわずか4ヶ月後の54年7月1日に、防衛庁が設置され、戦後の日本に初めて、正式な軍隊として・・自衛隊が発足した。・・・
今日まで、殺人原料サリンと製薬業界と軍事基地問題の関連が、まったく追及されていないことが不思議でならない。しかも米軍は、日本の戦時中の生物化学戦の主力である「関東軍731部隊」の残党を利用していたことが知られている。・・・
(安部英と中曽根康弘は)海軍の同胞が10数人で集まる「青年懇話会」で半世紀にわたって親交してきた仲だ。・・エイズ研究班班長に安部英を選んだのは、ほかならぬ中曽根康弘本人であった。・・・
■第2章/地震と保険とエネルギーの正体
1961年に制定された「原子力損害の賠償に関する法律」・・
電力会社は、原発事故を起こした場合、財産保険によって1000億円以上を手にしながら、被害者には、300億円を支払って、差引き700億円以上の利益が出る勘定になる。加害者の方が、補償される金額が多いとは、とんでもない法律である。・・・
■第3章/六ヶ所村と官僚の犯罪
すべての国民が知っておかなければならないのは、この再処理工場と高レベル廃棄物処分の計画が、"もんじゅ"と同じように、将来100%失敗すると分かっている、ということである。
(巨大地震が)六ヶ所村周辺で起こるようなことがあれば、耐震性は、全く関係がない・・(使用済核燃料)プールがどれほど強度の大きなものであっても、揺れに耐えられるかどうかという問題ではなくなる。その瞬間に、すべてが終わってしまう・・何の対策もとれないまま。・・・
真剣に原子力問題を掘り下げると・・必ず責任者の問題になる。それを避けるよう、ものごとが処理されてきた。結局、原発の安全論だけが表に出てくる。・・・
■第4章/学者集団と梅沢三兄弟の巨大な閨閥
原爆被曝・原子力被曝と薬害・公害は、いずれも同じ社会構造・・ではなく、いずれも同じ人間集団によってひき起こされていたのだ。・・・
「閨閥」・・一度獲得した財産や利権を自分の一族に分配・相続させる・・互いに利権を承認しあう上流階級グループが保持され、その絶対的な権威を保証してくれる体制を欲しがった。天皇制がその頂点にあって、勲章を授与することは、いまでも変わらない・・・
その悪しき共同体意識が消えたとき、日本は自由で解放されたものになるだろう。・・・
すでに明瞭に示されてきたように、戦時中に形成された腐蝕のリングが、現在もなお、霞ヶ関の官庁街と国会議事堂にその形をとどめている。・・・
現在では、霞ヶ関の官僚集団が、このグループの生みだす人脈と相互にからみあい、国民に大きな網をかけている。・・・
■終章/最後の人脈
鹿島建設が、日本原子力産業会議と日本学術会議をとりもっていたとは・・・
技術者や科学者出身の官僚はテクノクラートと呼ばれるが、日本のテクノクラートに欠けているのは、誠実さと技術者の良心である。彼らは、頭脳というものが精神から成り立っていることさえ知らな危険な人種である・・日本では、テクノクラートの精神の貧困によって、ほとんどの社会問題が発生していることは間違いない。・・・
住民投票を日本の制度としてとりいれれば、たとえ政治家と官僚が腐敗しても、あらゆる問題において、良識を実現することが可能になる。・・・
【以上、広瀬隆『腐蝕の連鎖/薬害と原発にひそむ人脈』より引用/下線は引用者】
《写真は大岐の浜/岡田充弘さん撮影》