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2008年10月20日 (月)

合意形成と社会の成熟度

核廃処分の「先進国」と推進側のみなさんがほめるフィンランドからの参加があると聞き、10月18日(土)の国際フォーラムに行ってきました。
□原子力学会共催シンポジウム/原子力廃棄物を考える国際市民フォーラム
「HLW2008omote-1.pdf」をダウンロード

フィンランドでは核廃処分地選定にあたり、まず科学的技術的な適地を数カ所選んだあと、その住民と当局が持続的にとことん話し合ったうえで、合意形成もしくは受け入れ拒否をも認めるという手順をとったそうです。一方、日本では、ゆたかな地下水脈と地震・津波が工事に及ぼす影響すら科学的に確信をもって説明できないばかりか、いきなり全国市町村の首長の意思だけで応募できるなどという前近代的な上意下達を是とするありようなので、事業設計が根本から違うことが、よくわかりました。
社会の成熟度が違っているのか、それとも、今さら「原子力立国」を撤回できず地質学的には極めて困難なので仕方なく"ごり押し"するのか、考え込んでしまいました。

Hamanoprokumo■推進派のスクラム

日本原子力学会 社会環境部会とともにこの国際フォーラムを主催したWIN(Women In Nuclear)の設立は2000年4月25日で、2000年6月の最終処分法公布、2000年10月のNUMO設立と相前後しています。

また、WIN事務局は日本原子力発電株式会社 広報室にあり、目的も構成メンバー(所属/出身)も、NUMOと酷似しています。もっと言えば、日本原子力学会の目的や構成母体とも重なりあっています。
□WIN(Women In Nuclear)
http://www.win-japan.org/win_japan/p1_seturitu.htm

いずれも、推進派の牙城ですね。


■国際フォーラム第2部/パネルディスカッション

推進派の問題意識を代弁する、田嶋裕起前東洋町長のビデオレターを受け、司会の宮崎緑さんは「東洋町ではマスメディア、活動家との対応、首長1人に責任と権限がいくことなど、日本の特殊事情が明らかにされた」と問題提起。

□次いで「住民の意思決定のしくみ」という本質論になると、

「住民が何を重要と考えているかを大切にするという意味で、住民との対話や討論が重要な役割をもつ」(フランス)

ローレンスリバモア核兵器研究所の重要なポストにあった人物でさえ、
「フィンランドの教訓は⑴おしつけない、⑵ボトムアップ。だから、外から来た活動家も共に議論をすること」(アメリカ)

「情報入手と意見交換の場を定期的、持続的に提供する。話し合うことの重要性」(フィンランド)

・・と、欧米の民主主義の原則に則った発言が主流となり、かえって、日本では住民参加のしくみが全く欠落していることが浮き彫りになりました。

□司会「心理的受け入れのための効果的アプローチ」

「(当局の)討論のトレーニング。放射能とは何か、当局の活動など、あらゆる情報をウエブサイトで公開する」(フランス)

そのメッセージを出す人が信頼できるかが重要」(アメリカ)

司会がNUMOの広報部長に発言を促したので、場内爆笑。
「誠実に向き合っている。相手に伝わるように、よく聴く」(NUMO)

相手に敬意を表し、尊重し、率直であれ制度を国民が信用するかどうか」(アメリカ)

ここでも、日本のやりかたのまずさが、ますます鮮明になりました。

□司会「ヤッカマウンテンの状況について会場から多くの質問が届いています」

「ヤッカマウンテンサイトの調査はうまくいったが、極めて厳しい状況。オバマは『注意深く考えなければならない』と言っている」(アメリカ)

この国際フォーラムで、住民が合意して処分地が決定しているのはフィンランドだけであり、しかも、フィンランドは原子力発電所の使用済核燃料を再処理しない直接処分だということが追認できました。


《写真は大岐の浜/岡田充弘さん撮影》

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