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2008年6月14日 (土)

核廃埋め捨ての問題点

日弁連が昨年(2007年3月30日から4月3日まで)おこなった東洋町核廃調査の報告の続きです。
■日弁連
http://www.nichibenren.or.jp/

Usa 日弁連環境保全委員会はこの報告書の最後に、「現在の運用面を含む法制度下においては同様のことは全国各地で起こりうるとの危惧が残る」として、核廃埋め捨ての問題点をまとめています。

【以下抜粋転載】
□高知県安芸郡東洋町における「特定放射性廃棄物の最終処分候補地の文献調査」に関する調査報告書/2008年5月2日/日本弁護士連合会 公害対策・環境保全委員会

■1 選定手続に地域住民、知事等の意思が反映されない
 1)東洋町の応募は事前には住民に知らされずに行われ、町民、高知県、徳島県及び周辺自治体からの反発にもかかわらず、原環機構はその応募を受理し、経済産業省は認可した。
 2)町長が独断で応募できるということの不当性を可能にしたのは、最終処分法に、文献調査を始めるに際しての手続上の定めが無く、原環機構のフリーハンドになっていたこと、原環機構が公募制をとり、首長が応募すればいいとしたからである。高レベル放射性廃棄物最終処分場ができることによって放射能汚染が生じるかどうかは、そこに住んでいる町民にとって、生命健康に関する重要なことであって、町民の意見聴取を十分に行って決断すべきであり、少なくとも町議会の同意を得て行うべきことである。現在の法制度は、このような常識的なことを無視しうるという問題点をもっている
 3)町民だけでなく、高知県、隣の徳島県、その両県にまたがる各市町村とその住民が反発したのは、放射能汚染が生じた場合の広範な被害への危惧からであり、住民の生命、財産の安全に責任をもつ地方自治体としては当然の態度表明であった。しかるに、文献調査の段階では都道府県知事からすら意見を聞く必要がないとされていることには、地方自治の根幹に関わる重大な問題がある
 4)(最終処分法の第4条第5号の)条文においては、当該町民の意思は直接的には勿論、議会を通じても反映できず、町長独断の場合には、今回のような町長の辞職やリコールによる町長の交代しかありえない・・。

■2 交付金支出の異常さ
 3)文献調査は、・・調査に応募した地区に最終処分施設が設置されるか否かはまったく未確定の段階である。それにもかかわらず、・・電源立地地域対策交付金が、施設設置が見込まれるとは到底いいがたい調査に応募しただけの市町村に支給されること自体、極めて不自然であって、本件交付金支給が法律上認められるものであったかどうかについて重大な疑問があるといわざるを得ない
 4)また、交付金の金額は、年間10億円、通常文献調査には概ね2年間を要するとされることからすれば総額では20億円近くに上る巨額なものであり、近時深刻な財政難にあえいでいる多くの地方自治体にとっては、地域の安全の問題は二の次にして財政難の解決のために文献調査に手を挙げる誘因にとなるに十分な金額といえ、本来地域住民の安全を第一とすべき地方自治のあり方をゆがめるおそれがある。・・
設置されるか否か全く不確定であり、設置が見送られる可能性が相当高いにもかかわらず、これほど巨額の交付金が支給されることは、交付金支給の適正を欠くとして厳しい批判を免れないものである

■3 安全審査の不備
 1)安全規制手続と原子力安全委員会の関与
 (最終処分法20条が示すように)肝心の安全規制が定まらないこと自体不十分な法律であるが、最終処分方策が科学的に未確定な状況下にあるにもかかわらず、六ヶ所再処理工場の本格稼働の社会的合意形成の必要から急遽地層処分を前倒し的に採用したというのが実状である。・・
 2)原子力安全委員会のチェック機能
 (1)最終処分の最大の問題点は、地層処分方策の安全性である
  安全性審査がどのような基準に基づき、いかなる許認可手続の下で行われるかは、今後の法整備を待つことになるが、現行法制度の下では、原子力安全委員会が安全審査を担うことになるとされている。
 (2)しかし、現状においても資源エネルギー庁によると文献調査の対象を選別する段階で、原子力安全委員会「・・・考慮すべき環境要件について」・・
 (3)そもそもこの基準が妥当かどうかには疑問がある。・・南海地震が想定されているのであるから重要な問題である。・・原子力委員会がチェック機能を担うにあたって、少なくともこの基準の審査方法、審査経過並びに審査内容について透明性が確保されるべきであろう

■4 東洋町での応募撤回後の動向について
 1)総合資源エネルギー調査会電気事業部会・・2007年11月の「放射性廃棄物小委員会中間とりまとめ」報告書は、これまで私たちが指摘した問題点を解消するものではなく、いっそう増幅させるものである。その点を指摘しておく。
 2)第1は・・国からの申し入れという形で行われた場合、公募制で建前上にせよ残された地元からの自発性による意思の尊重も無くなってしまいかねない。・・住民意思の形成を実質的に歪める恐れがある
そもそも、原環機構に対する強力な監督権限をもつ国が当事者的に応募に関与することは、原環機構による審査の公正自体に重大な疑義を生じさせるものである。
 3)第2に・・「中間とりまとめ」での方策は国の申し入れという形式面に止まらず、その実態面でも地元住民の自由な意思を阻害する恐れが大きい。・・その金額面に加えて「・・地域振興構想の提示」「調査段階における交付金の活用方策の提示」といった味付けを加え、利益誘導しようとしている。
また、最終処分事業の安全性について、・・批判的な意見に敵対的な姿勢をあらわしている。
そのうえで、・・世論や草の根レベルでの活動が住民意思の反映として重要であることは言うまでもないが、「中間とりまとめ」はもっぱら推進に方向づけられてのものであり、本来のものとは言いがたい
 4)以上のように、「中間とりまとめ」は今回の東洋町での問題点を本来の教訓としたものではなく、逆に問題点を増幅することにも繋がりうる危険な動きといえる
【転載終わり/下線は転載者】


《写真は宇佐/中島健蔵さん撮影》
写真は【禁転載】でお願いいたします。

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