ガラス固化技術の根本的欠陥
「再処理工場の試験でガラス固化技術の根本的欠陥が明らかになった以上、試験を中止してください」と市民団体が5月14日、原子力安全・保安院と交渉しました。
■原子力安全・保安院宛の要望書
http://www.jca.apc.org/mihama/reprocess/hoanin_yobo080514.htm
猛毒、高レベル放射性廃棄物を閉じ込めるはずのガラス固化体をまともに造れないのに「地層処分は120%安全」は、ないでしょう・・・
美浜の会、福島老朽原発を考える会からの、交渉の報告メールを転載します。
昨日、5月14日にガラス固化問題で行った保安院交渉の報告です。
みなさんのご協力により、要望書は151団体で提出しました。
ありがとうございました。
提出した賛同団体付きの要望書は美浜の会ホームページに掲載していますのでごらんください。
http://www.jca.apc.org/mihama/
□交渉に先立って午後1時から3時まで事前の検討会を行いました。
□交渉 午後3時〜4時 衆議院第2議員会館にて
保安院から来た金城氏を相手に後述の問題で質問しました。
1月15日にはよくしゃべった金城氏が、今回は非常に歯切れが悪く、何を聞いても「それは原燃に聞いてくれ」、「いまは把握していない」などと言った調子でした。
明日16日に国の再処理ワーキンググループがありますが、もしそこに原燃が宿題の報告書を出すつもりなら、もうすでに金城氏の手元にきているはずなのに未だ来ていないと言っていました。
つまり16日にもまだ原燃は報告書を出せないことが確認できました。
・交渉には30人ほど集まりました。サーフライダー・ファウンデーション・ジャパン(SFJ)の方も参加されました。
・議員が6名も参加されました。川田龍平議員(無所属)、近藤正道議員(社民)、金田誠一議員(民主)、下田敦子議員(民主)、大島九州男議員(民主)、相原久美子議員(民主)が参加、他に議員秘書が多数来ていました。溶融炉・加熱炉に詳しい大島議員が熱心で的確な追及をされました。
・大島議員が、今の炉で小手先で運転方法だけ変えてもダメだとし、炉の改造、設計変更の可能性を追及したのがクライマックスでした。金城氏は「オプション、シナリオとしてありうる」と言う一方で「手続きをやり直したら本格運転ができなくなってしまう」とも。
・近藤議員は、原燃がいまだに報告書を出せないことに驚いていました。「4月に六ヶ所に視察にいったとき、原燃は、まもなく出すと言っていた」と。
・余りの非公開にSFJの方が、「原子力三原則*とは何か言ってみてください」と聞いたところ、金城氏がしばらく考えてから「平和利用・・・」と言っただけでつまり、まったく答えることができなかったのは驚きでした。
《転載者注:*「原子力開発利用は平和目的に限られること」「民主、自主、公開の三原則を厳守すること」》
◆今回の内容的な焦点は次の点です。壁にプロジェクタで図を写しながら一つひとつ質問していきました。
・炉の底にこびりついた白金族を取り除いたというが、底にある底部電極の下の隙間(スリット)内のものまで取り除いたのか
→分かりません、原燃に聞いてください(金城氏)。
・東海1号溶融炉では炉に注ぐ廃液濃度を一定にするために事前の位置に濃縮器を設けていたが、六ヶ所施設では1980年の設計段階でコストを理由に取り除いている。その結果、溶融炉に入る廃液の濃度が変動し、それに応じて運転方法を変えねばならないようになっているが、そのような運転の基準がどうして立てられるのか
→知りません。原燃の報告書がでれば検討します(金城氏)。
・平均の「ガラス温度」が1100℃を切っているグラフを原燃が2月4日に出しているが、これでは欠陥ガラス固化体ができているのではないか
→分かりません(金城氏)。ガラス固化体はどれも識別はしている。
・ふたが閉まらなかったガラス固化体が3体あるがこれはどうするのか。重量だけで管理するのではだめではないか
→分かりません(金城氏)。
・この金城氏の対応には、参加者全員あきれかえりました。全く無責任な対応です。
◆最後に、要望書を再処理ワーキンググループや小委員会の委員にも渡すよう要請しましたが、これについても「いろいろあるので、検討します」でした。
□交渉後、経産省記者クラブで記者会見。
今回は記者が熱心で、濃縮装置や炉底部に残存している可能性、温度のことなど熱心に聞き、質問も多くでました。
★原燃は宿題の報告書を未だ当分は出すことができない状況です。
この間にさらに運動を広げていきましょう。
■福島老朽原発を考える会からの報告
みなさまへ
保安院への要請行動に賛同・参加いただき、ありがとうございました。短時間に151団体の賛同をいただきました。交渉には30名ほどの皆さんにご参加いただきました。
保安院の金城氏の無回答ぶりに、今のガラス固化問題の困難が現れていると感じた交渉でした。
ガラス溶融炉は今のものを使う限りだめで、設計のはじめからやり直さなければならないという大島議員の指摘は全く正論で、それに対し、金城氏がオプションのひとつと認めたのは驚きでした。ただ普通に考えればそうなるはずです。
金城氏は、設計からやり直していては時間がかかり、本格稼動が難しくなるといった発言もしていましたが、そんなことは原燃やエネ庁が考えることでしょう。
安全を確保することが使命であるはずの保安院の立場を逸脱しています。
「ガラス固化問題は再処理工場の安全上の問題ではない」というのも相変わらずの姿勢で、これに対しては、ガラス固化が止まったもとで燃料のせん断だけが進むことにより、この世で最も恐ろしい高レベル放射性廃液が溜まることの危険性について、グリーンピースの鈴木さんはじめ、皆で訴えました。
会場には議員と議員秘書の皆さんも多く見えていました。ガラス溶融炉の底に残留物が取りきれずに残っている可能性、ガラス温度が1100度を下回って廃液とよく混ざっていない欠陥品ができた可能性、経済性を優先して六ヶ所では濃縮装置をはずしてしまい、廃液の管理をますます困難にしている点など、事前に時間をかけて勉強し、交渉でも美浜の会の小山さんがプロジェクターで図を見せながら丁寧に追及されたので、参加者は皆問題がクリアになり、そのすべてが未解決であることが誰の目にも明らかになったように思います。
明日16日には再処理WGが非公開で開催されます。原燃はここでもまだ報告書がだせない状況にあります。
資料はただちに請求し、明らかになり次第またご報告いたします。今後とも、ガラス固化で偏流を起こすほどの粘り気で、本格稼動をさせないよう監視を続けていきましょう。
【転載終わり/下線は転載者】
《写真は物部/中島健蔵さん撮影》
写真は【禁転載】でお願いいたします。
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