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2008年3月 7日 (金)

原発周辺の白血病発症率

ドイツ政府が実施した研究の報告書で、「原発から5キロ圏内は小児白血病発症が約2倍」という科学的事実が明らかにされました。原発の何がどのように幼若細胞の遺伝子を損なうか、今後の研究が待たれます。
研究概要の邦訳は、原子力資料情報室が通信第405号とホームページに掲載しています。
■原子力資料情報室
http://cnic.jp/modules/news/article.php?storyid=619
■時事ドットコム2007/12/10
http://www.jiji.com/jc/zc?k=200712/2007121000429
以下、抜粋です。

Img_2330_3■原子力発電所周辺で小児白血病が高率で発症
ドイツ・連邦放射線防護庁の疫学調査報告

2007年12月、ドイツの環境省(連邦環境・自然保護・原子力安全省)と連邦放射線防護庁は、「通常運転されている原子力発電所周辺5km圏内で小児白血病が高率で発症している」という内容の調査研究『KiKK研究』の成果を公表した。

長い間議論されてきた原発周辺での「がん多発」という問題を科学的に裏付けた調査結果は、ドイツ国内で大変大きな反響を生んだ。発表直後の放射線防護庁のホームページでは、冷静な議論を呼びかけるコメントが公表されるほどだった。

「ドイツ小児がん登録機関」は、1980年から1990年までのデータをもとに、原発から5km、10km、15km圏の15歳以下の子どものがん発症頻度を観察する生態学的研究を実施した(第1研究)。1992年に公表された報告では、原発から5km以内の5歳未満の子どもの小児白血病の発症率が統計的に有意に高かった(相対危険度:3.01)

第2研究のデータの扱い方や結果についての外部評価、さらに社会的にもメディアにおいても批判的議論が巻き起こった。そのため研究結果の公表後も、子どものがん発症と原発付近に居住することの間に関連性があるのではないかという議論がドイツでは絶え間なく繰り返され、クリュンメル原発周辺では高率の小児白血病発症も続いていた。

ドイツの脱原発へ歩みは1998年に社民党と緑の党の連立政権を発足させ(〜05年まで)、2002年には脱原発法を成立させるなど確実なものとなっていた。このような動きと連動して2001年、放射線防護庁長官の招聘により様々なグループが対等な立場で議論する円卓会議が開催された。この会議において放射線防護庁は、すでに公表されている第1、第2の研究を基本としながらも、科学的批判に堪えうる体系的な第3の調査研究開始を決定し、研究は小児がん登録機関に委託されることになった。

『原子力発電所周辺の小児白血病に関する疫学研究』は、ドイツ連邦放射線防護庁が小児がん登録機関に委託し実施された。ドイツ国内(旧西ドイツ地域)の16ヶ所の原子力発電所周辺に住む子どもたちに発症した小児がんと小児白血病について、原発サイトから 子どもの居住地までの距離と疾病発症の相関関係が調査された。

結果、原発から5km以内で、全小児がんの発症率が1.61倍、小児白血病は発症率が2.19倍で、統計的に有意に高い発症率であることがわかった。また10km以内でも急性リンパ性白血病が1.34倍で、有意に高い発症率である。

ドイツ国内の原発周辺地域、特に5km以内に住む5歳以下の子どもの小児がんと小児白血病の発症リスクが高い、という実態が把握された。しかしどのような生物学的危険因子によってこの関連が説明できるのか、本研究では言及できない。放射線生物学的、放射線疫学的知見に基づいても、通常運転中のドイツの原発から放出される電離放射線は、危険性の原因として解釈することはできない

ドイツ政府によって実施された『KiKK研究』は、5歳以下の子どもが小児白血病を発症する危険性について、居住地と原子力発電所立地地点の距離が近いほど増加することを初めて科学的に立証した。報告を検討した外部検討委員会は、「研究は科学的検証に耐えうる現時点で世界的に通用する手法で行われた包括的な調査である」と評価している。『KiKK研究』が提起した原発の放出放射能とがん発症の関連については、ドイツ政府(環境省、放射線防護庁)が調査の継続を確認している。今後もその経過と成果を注視したい。
(原子力資料情報室ホームページより引用/下線は引用者)


《写真は大岐の浜/岡田充弘さん撮影》

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