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2008年2月25日 (月)

怒りの否認

高知県出身でユング派の精神分析医の織田尚生さんは、放送大学教員だった時期がありますが、昨年、突然亡くなりました。残念です。放送大学で同窓だった旧友が送ってくれた、織田さんの最後の著作『心理療法と日本人のこころ』をいま、読んでいます。

東洋町長澤山保太郎さんは、前町長が高レベル放射性廃棄物の地層処分場誘致に独断専行で応募した経緯を知っていながら傍観した町の幹部職員の責任をきびしく問うています。
じつに正鵠を射た怒りであると共感します。
■東洋町長日誌
http://sawayama.cocolog-nifty.com/blog/2008/02/post_07ce.html

Monoibe2■こころの現実

私たちのこころの暗闇には、仏も鬼も住んでいるが、対極的なもののうちの肯定的なもののみを受け入れ、破壊的な一方を否認し切り捨てようとする。私たち個人のこころや社会のあり方が、悪を含む本質から目をそらして偽善的になればなるほど、このような傾向は強くなる。人のこころのなかの破壊的なものを認めようとしないとき、私たち自身は偽善的になり、そして社会の守りは失われる。

私たちは人間として当然の、理不尽なものに対する怒りを体験しなければならない。

■怒りの否認

平和な社会に暴力や犯罪がなぜ横行するのだろうか。これは、私たち誰もがもっている、こころのなかの攻撃性を否認する傾向からきているだろう。攻撃性を自覚できないことにより、それが屈折した形で表現され、かえって容易に暴力や犯罪として行動化されるのである。

偽りの平和のために、理不尽なことが許されるべきではない。

対象に怒りを感じることができない人間は、自虐的になり、対立する相手方に容易に同一化してしまう。対立者や加害者との同一化である。私たちばかりでなく、対立する相手のこころにも、攻撃性や悪が存在することを認めなければならない。
(織田尚生『心理療法と日本人のこころ』培風館、2005年、p16〜19引用/下線は引用者)


《写真は物部/中島健蔵さん撮影》
写真は【禁転載】でお願いいたします。

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コメント

仁さん、いつもコメントありがとうございます。
さっそく2月26日の記事にリンクさせていただきました。

投稿: げき | 2008年2月26日 (火) 11時58分

核廃処分の記事も澤山町長の行動力にはいつも勇気づけられます。

ところで以下の記事を見つけました。
http://www.news.janjan.jp/living/0802/0802140816/1.php
原子力発電でCO2は減らない。「グリーンピース」

投稿: 仁 | 2008年2月25日 (月) 22時36分

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» 織田尚生さん [土佐ローカリズムちや]
それがたまるか!!さんですごくえい記事がUPされてます。 怒りの否認 織田尚生さんという方は存じ上げていませんでした。 素晴らしい方ですね。 人間の心性を深く洞察できた方ですね。 おっしゃっていることは悉く正しくて 今の日本人がすっかり忘れていることを指摘されています。 <対極的なもののうちの肯定的なもののみを受け入れ、 破壊的な一方を否認し切り捨てようとする。> その中に、上記のような一文があります。 今の日本人はいいことばかり言って悪いことを言うの... [続きを読む]

受信: 2008年2月26日 (火) 12時46分

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