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2007年10月21日 (日)

そんな耐震基準でいいか

原発耐震設計の拠りどころ「発電用原子炉施設に関する耐震設計審査指針」は、昨年25年ぶりに改訂されました。しかし、石橋克彦神戸大学教授は、「分科会の最後のとりまとめ方は納得しがたく、このままでは地震科学の専門家として社会に対する責任が果たせない」として、原子力安全委員会・耐震指針分科会の委員を辞任されました。
専門家が責任をもてないと席を立った、そんな耐震基準でいいのでしょうか・・
「科学」昨年10月号の石橋克彦さんの記事を、抜粋してご紹介します。

Muroto1原子力安全委員会・耐震指針検討分科会の委員をなぜ辞任したか

辞任の理由は二つある。第一は、4月末にまとめた改訂原案が30日間の意見公募にかけられ、700件の意見が国民から寄せられたのだが、それらが真摯に考慮されなかったことである。傾聴すべき意見が多く、それらを採り入れることが改訂指針案をより適正で明確なものにするのに有効だと考えられたから、十分に審議すべきことを再三強調し、具体的な修正案も提出したが、「議論を蒸し返さない」という一部委員や事務局の発言と、「修正は最小限にしてほしい」という安全委委員長の強い要望によって審議はしぼんでしまった。これは、4月に施行された改正行政手続法を踏みにじる行為である。
第二の理由は、原発に影響を与える内陸大地震の想定にきわめて重要な活断層に関し、意見公募中に重大な「事件」が生じ、それを踏まえた改訂原案の再検討が必要となったにもかかわらず、意図的に避けられたことである。
事件とは、島根原発の近傍に活断層はないと中国電力が結論し、経産省と安全委の安全審査もそれを追認して3号炉の増設を許可した場所で、広島工業大学の研究チームが活断層の存在を実証したことである。その結果、中国電力が最長10kmとしていた活断層(宍道断層)は、長さ18kmかそれ以上の可能性が高くなり、ここで起こりうる地震は中国電力の想定を超えたM7クラスになる(これは重大な審査ミスと言うべきだが、経産省も安全委も何の対応もしていない)。
活断層というのは、同じ場所の地下で大地震が繰り返し発生し、毎回地表まで達した断層のズレが累積したものである。したがって、それを発見し認定するのは、地形発達史を検討しながら「断層変位地形」を抽出する変動地形学が基本になる。ところが、原発に関連した活断層調査には変動地形学が使われていないのだ。島根での事業者・審査側双方による活断層の見落としは、起こるべくして起こったとも言える。
改訂指針案は、耐震設計の基準となる地震動の策定に関して、原発立地点近傍の活断層調査が詳細で信頼度が高く、活断層を見逃すことはないという大前提に立っている。しかし、この前提が明白に崩れたのだから、提出意見の多くが、活断層の調査法と地震動の策定法に関する原案の大幅な修正を求めていた。
ところが、・・・島根の審査ミスに直接責任ある専門家が4人いたにもかかわらず、島根の「事件」の重大性も、変動地形学の本質的重要性も、分科会は理解しようとしなかった
耐震設計の基礎となる活断層に関して、原発の世界には変動地形学者がまったくといってよいほど関与していない。分科会の構成も同様である。異常と言うほかはない。
すでに、改訂指針案を踏まえて、既存原発における地質調査や、業界の詳細な活断層調査法の修正などが始められているが、それらを活断層研究の正道に沿ったものに正すことと、審査体制全般を抜本的に改めて客観性と透明性を確保することが急務であろう
(科学76巻10号963〜964ページ「科学ニュース■原子力委員会・耐震指針検討分科会の委員をなぜ辞任したか」より引用/文責と下線は引用者)


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