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2007年3月16日 (金)

臨界事故かくし

引き続き、志賀原発の臨界事故隠しについて、No Nuke MLの情報です。

Ookinohama1_4志賀原発の制御棒脱落=臨界事故は原発でこれまでに実際に起きた事故としてはもっとも危険なものであったといって良いと思います。

 安全審査や保安規定が想定する事態をことごとく逸脱し、停止中で原子炉の開放中に炉心が臨界状態になるという世界でも例を見ない事故でした。
 何がどうなったらこうなるのか、まったく恐ろしいことです。

 そこで報道等では書かれていない二つの点を指摘しておきます。
 昨日か今日か甘利経産大臣が「この事故が明らかになっていれば、99年9月30日に発生したJCO臨界事故も回避できたかもしれない」という趣旨のことを言ったそうです。希にまともなことを言うものだと思いますが、それ自体はそのとおりであろうと思います。つまり、こういう事故隠しをした結果何が起きるか、東電の大量のひび割れ隠しや事故隠しは美浜3号の蒸気突出事故発生を止められず5名が死亡、志賀原発の臨界事故が隠された結果JCO臨界事故を止められず2名死亡、従業員と住民多数が被曝という事故を引き起こしたと言えます。
 問題点をこのように展開してみることで、志賀原発事故を隠蔽したことがどんなに重大か見えてきます。甘利大臣の言葉だけでなくジャーナリストは自分たちの言葉でそういう追及をしてほしいところです。

 そこで、もうちょっと別の視点から見てみると、

 93年に運転開始した志賀原発は当初からトラブル続きですが、この前年の98年には復水器内部の防熱板が落下し、復水器細管を破損するという事故を起こしました。ずさんな設計と施工だったことで、大きな批判が集まります。
 一方、市民団体は志賀原発の差し止めを求めて訴訟を起こしていて、この時は名古屋高裁金沢支部の判決が下された直後でもありました。例の「原発は負の遺産」判決です。98年9月の判決です。
 裁判は最高裁に上告されており、臨界事故の時はまだ棄却決定はされていませんから、この事故が明らかになっていれば実質審理が再開され別の結果になった可能性だってありました。最高裁の上告棄却は2000年です。
 臨界事故があった年の99年8月には、志賀原発2号機の差止訴訟が提訴されています。
 6月の時点でも、電力側は志賀2号機訴訟が提訴されるであろうことは十分予見できていました。
 つまり、この臨界事故は、裁判で原発の固有の危険性として主張している「制御棒挿入失敗は安全審査での想定を上回ることが起こりえる」「制御棒挿入失敗は人為ミスや操作ミスでもあり得る」「ECCSも機能しない可能性はある」という主張がそのまま実際に起きたものであり、1号機訴訟でも2号機訴訟でも原告側が主張していた内容に沿った事故であったわけです。
 隠さなければならないと考えた大きな理由は、このあたりにあったのかもしれません。
 当時の発電所長は退職していて、記憶にないなどと言っているみたいですが、もちろん普通だったらそんなことはあり得るはずがありません。原子炉を少しでも知っている人ならば、この事故の恐ろしさが分からないはずがありません。
だからこそ隠すのです。
 東電事故隠しの第一段階で、199件の事故がことごとく「軽微」などと東電が言ったことに対して私は東電説明会で「軽微」と評価できそうなものだけを公表し、まだ隠しているのがあるのでは?」という趣旨のことをいいましたが、まさしくそのとおりになっています。あとからあとから、重大度が高いものほど後出しです。

 まだ重大事故が隠されたことが明らかになっていない電力会社の地元の方々は、これから重大事故が明らかになると覚悟した方が良いかもしれません。
 「信じるものほど救われない」のが原子力の世界です。

 もうひとつ報道では触れられていない重大な出来事を書いておきます。
 99年6月14日、この事故が起きる4日前に、非常用ディーゼル発電機のクランクシャフトにひび割れが発見されています。そのことで大きな問題となり、日付はわかりませんが北野さんが県議会で追及しています。
 つまり、この事故は非常用ディーゼル発電機が機能していない時に起きているのです。
 定期検査中ですから、ある時点で非常用ディーゼル発電機も点検中で稼働できないということはありますが、今回は間違いなく非常用ディーゼル発電機は使えないと特定できる時に臨界事故が起きていたわけです。
 まとめると、こうなります。

 志賀1号機は99年4月から第五回定期検査に入っていた。
 6月14日に非常用ディーゼル発電機の1台のシャフトにひび割れ発見、発電機は使用できない状態。おそらく同時にもう一台も緊急点検をしていたであろうと思われ、そのため二台とも分解されていた可能性が高い。
 6月18日臨界事故発生、そのとき原子炉は開放状態なので「裸の原子炉」であった。つまりJCOの沈殿槽と同じ状態ただし規模は桁違いに巨大であり「5重の壁」など存在しなかった。
 臨界発生によりスクラムがかかったが3本の制御棒は動かず15分間も制御不能となっていた。現場に中央制御室から「放送して」制御棒を動かせる状態に復旧しようやく全挿入したという。
 7月には何事もなかったかのように原子炉を起動
 9月30日にJCO臨界事故

 後備停止系が何も機能しなかったのは、動かなかったのか動かせなかったのか、いずれにしても詳細な調査が必要です。


《写真は大岐の浜/岡田充弘さん撮影》

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