西尾漠さんの本から
原子力資料情報室の共同代表である西尾漠さんの『放射性廃棄物のすべて』から、「高レベル放射性廃棄物」に関する内容を抜粋してご紹介します。とてもわかりやすい語り口で問題の核心をつく、入門書です。
最大のごまかしは、2030年までに(高レベル放射性廃棄物のガラス固化体を)約7万本相当に増やしていくことの是非を棚上げにしながら、「少なくともすでに存在する」ものは何とかしなくてはいけないと主張し、事実上、これから発生するものをふくめた処分をすすめようとしていることです。
まず必要なのは、放射性廃棄物を増やしてでも原発をつづけたほうがよいのか否かを議論し、原発の廃止時期を定めることです。そうして初めて、後始末すべき放射性廃棄物の総量がわかるからです。
もちろん、再処理をするのがよいか、使用済み燃料をそのまま高レベル放射性廃棄物とするのがよいか、といったことも評価の対象になります。
そうしたことを、「後世代に残す負担を少しでも小さくするにはどうしたらよいか」という観点から評価し、議論し、結論を出すことこそが、まさに現世代の責任ではないでしょうか。
《写真はハリセンボン/岡田充弘さん撮影》
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