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2006年11月20日 (月)

西尾漠さん講演会

室戸岬から東洋町生見海岸に続く国道55号線沿いは11月19日(日)強風注意報が発令され、波頭が白く泡立ち大波がうねっていました。
この日、生見海岸にほど近い東洋町役場に隣接する地域福祉センターで、『みんなで考えよう高レベル放射性(核)廃棄物』と題する、初めての住民主催講演会があり、原子力資料情報室の西尾漠さんが講師として東京から招かれ、住民約150名が参加しました。

Nami_1講演会を企画実行したのは、「推進派も反対派もなく、東洋町や周辺住民みんなで考えたい」と願う若者たち有志でした。
たがいに声をかけ合い、てきぱきと動く若者たちをそばで見ていると、
この町の将来を悲観的な状況に追いやってはならない! 強くそう思いました。

西尾漠さん講演内容から、ご紹介しましょう。
1 核分裂生成物(死の灰)の出す放射能の強さが半分になる期間は、プルトニウムで24000年、ウランのなかには45億年かかるものもある。
2 一度応募すれば、地質や活断層など科学的によくない場所でも「危ないからダメだ」となることはないだろう。NUMOの資料は、非常に岩盤が弱いところでなければどこでも作れると言っているようなもの。住民にさほど影響のない文献調査段階の2年間に高額の交付金が出されるのは、住民が受け入れやすくするためではないか。
3 もともと地層処分は地震の影響を考慮して除外され、1962年当時原子力安全委員会は深海投棄を考えていた。が、1972年のロンドン海洋汚染防止条約に日本は翌年署名して人工保管方式に方針を変更、議論を尽くさぬまま場あたり的に地層処分を考え始めた。
4 地層処分はどの国もいまだ実施していない。米国、フィンランドは場所を決めただけであり、フランスはほかの処分方法の検討を始めた。地層処分の場合、埋め捨てではなく、地震や事故の危険性を考え「回収可能性」が必要条件となりつつある。
5 はたして、NUMOの言うように地下300〜1000mに地下水の影響も受けず巨大施設を建設できるのか、ガラス固化体(高レベル放射性廃棄物)の熱や放射能の強さ、地震のことを考えると、地下施設に50〜60年かけて4万本分を埋めていくプロセスは安全なのか、疑問だ。
6 この町には、こんなに生き生きとした若者たちがいるのだから、ほかに(町おこしの)方法はあるはず。一時的なカネのために未来を売り渡していいのか。
7 現にある高レベル放射性廃棄物については過疎の町だけでなく、みんなで考えるべきこと。それなりの議論をすべきだ。無責任に「安全に処分できます」という宣伝をしてはいけない。カネで進めるやりかたは間違っている。

講演のあと、活発な意見交換がありました。

ある町会議員さんからの「NUMOは応募しても引き返せると言うが」という質問に「津野町高レベル放射性廃棄物を考える会」メンバーから、
1 資源エネルギー庁対策室長が「各段階で自治体が拒否権を持てるというのが国の約束だ」と発言したという新聞報道があったがそれは口約束に過ぎず、法律や国会答弁などを専門家が検討したところ応募したら意を翻すことはどこにも保証されていない
2 先に岐阜の市民団体が最高裁までたたかって公開させた処分場候補地評価資料によると、津野町は10のうち丸は4つだが、東洋町は10のうち丸は5つある
という情報提供があり、会場には大きな拍手、あるいはどよめきが走った。

1119touyoucho2また、漁業関係の男性からは「いつどうなるか分からんような危険なものの上に座ってはおれん」「カネをもろうたら、エラい人はおかしゅうなる」「(国の政治のしかたとして、みんなの暮らしがきびしいから)税金はしばらくやめにしようと言うなら大賛成じゃが、よそのゴミをもってくるのはおかしい」「こういう会が催されたら、わしら住民が何をしたらいいのかだんだんわかってくる」「津野町や徳島から応援をしてくれて、地元のわしらが立ち上がらなければ情けない、今日を機にみんなで団結してやってゆこう」という意見があり、会場に拍手喝采がまきおこりました。


《写真上は大岐の浜/岡田充弘さん撮影、写真下は講演会のようす/Mikkiさん撮影》

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コメント

けんちゃん、いつもコメントありがとうございます。
「いつでも引き返せる」と平気で言うNUMO、それを信じきっている町長や町執行部の面々。どうして町おこしのほかの方法を探ろうとしないのでしょう???
若者たちの気概を、おとなたちが受けとめなくてどうするのでしょう・・・
それにしても、この核のごみ捨て場問題は、狙われた町だけの問題ではなく、この国のすべての住民の問題のはずなのですよね!?

投稿: げき | 2006年11月22日 (水) 23時55分

 なかなか真剣な講演会の様子が伝わってきてきます。「未だ地層処分は決まった場所はない」ことと、「安全性の保証はどこにもない。」こと。
 
 それに高知県全体は「地震の巣」。この30年以内にスマトラ級の規模の巨大地震が起こる確率は50%と言われています。

 そんな条件の高知県に「核のゴミ」を持ち込もうとすることが、非常識ではありますね。

投稿: けんちゃん | 2006年11月21日 (火) 08時16分

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