« 現地からの声 | トップページ | おっとろしや!! »

2006年10月23日 (月)

臨界の危険性

専門家の方々に質問しました。

「高レベル放射性廃棄物と水が接触すると、核分裂連鎖反応が始まりますか?
ただ、地下水脈を介して放射能汚染がひろがるから危いということでしょうか?」

回答:
基本的に、日本の高レベル放射性廃棄物は、ウランとプルトニウムを除去したあとのものを指しますので、水と接触しても核分裂は起こりません。
一時アメリカでは、1972年にローレンス・リヴァモア研究所が、地下2000メートルの洞窟に高熱の廃棄物溶液を流し込む方法を提唱したことがあります。この処分法では、どろどろの廃棄物が岩を溶かして地底に穴を掘り、数百倍の大きさに拡大したあと、ほぼ100年後に岩が冷え固まり始めて、巨大な洞窟に封じこめられると考えた。これに対して、裸で高レベル廃棄物を流し込むと、計算通りに分散しなければ核爆発する可能性があると指摘されて中止になった経緯があります(1980年代に出版されたアメリカの書籍Radwaste に記述されている)。それ以上の詳細は書かれていませんので、廃棄物の内容は不明です。

高レベル放射性廃棄物のキャニスターと水の接触が問題になるのは、基本的には、金属の腐食が起こって(加速されて)、中味が地中に流れだすからです。放射性物質を閉じ込めているはずのガラスは、熱水に最も弱い物質です。
それを包むキャニスターの金属は、高熱を逃がすために薄く作られています。どれほど高品質の金属を用いても、高熱と放射線の作用と、そこに水が加わった場合は、まず何年ももたない、というのが化学の常識です。地底では、その水分にさまざまな腐食性物質も加わりますので、実際には、予測できないほどの加速が起こるはずです。
私は若い頃、技術者として、ほとんどをこの金属の腐食実験に取り組んでいましたので、断言しておきますが、理論上の腐食は、実際の地球上で起こっている複雑な腐食の解明には、さほど役立っていません。そのため、無数の事故が起こっています。人工物質が散乱している自然界の腐食に耐えられるようにするため、結局は、その現実を再現するための腐食実験が最も信頼できるのですが、長期間の耐蝕性実験は不可能なので、加速試験によって、将来を予測(推測)するほかありません。つまり技術者は、希望的推測に基づいて、製品を世に送りだしているにすぎません。それでも、30年が推測の限度です。

一つだけ付け加えますと、アメリカで、地層処分で核爆発する可能性があるとの指摘があったというのは、アメリカの処分方法が日本とちがって再処理せず直接処分ですから、プルトニウムもウランも含まれているため臨界の可能性が否定できないということだと思います。

|

« 現地からの声 | トップページ | おっとろしや!! »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/172452/3929702

この記事へのトラックバック一覧です: 臨界の危険性:

« 現地からの声 | トップページ | おっとろしや!! »